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NPO法人エコ・ギア 吉井川源流調査 平成17年7月8日
小河川の調査報告(その2)
中 原 清 士 (顧問:植物学) 

 目次 :  (その1)  T小谷川   U 野原川   V まとめ  /  (その2) 小谷川・野原川の補足調査

小谷川・野原川の補足調査

1. 両河川の増水は予期していたよりも少なかった。(乾期の間に乾き切っていた山腹に吸収されていたらしい。)それでも小井堰を越流する様子を見るには好適で、オオサンショウウオの遡上は充分可能と見られた。(オオサンショウウオの遡上条件に目をつけたのは、オオサンショウウオが遡上できる状態ならば、魚類の遡上は勿論容易であると考えられるからである。)




小谷川が後山川本流へ合流する地点の井堰段差はオオサンショウウオの遡上不可能と見られる。
(前報告(その1)調査写真P1、2)

P1:小谷川を橋上から見下したもの

P2:合流点を本流側から見たもの



小谷川は長さ3000m、高度差650mで、比較的おだやかな流れを保って居り、小谷集落の上流はオオサンショウウオの産卵、生育には好適。(P28)



2. その1の前報で、単に排水路の性格≠持つ(特に野原川で)と推定したことを確認したかったのですが、増水の度合が小さかったので、それは不可能でした。



3. 前回の調査の際、小谷川川口のA氏から後山川本流の対岸にオオサンショウウオが出現すると聞いていましたので、今回は其の点について調査を試みました。対岸の集落はすぐ背後に山が迫り、短くて傾斜の急な4つの谷川(長さ1000m前後の間に250m以上を流下)が1つに合流して集落内を通り抜け、30m程下で後山川本流に合流しています。その1つに沿って上流へ歩いて見ましたが(写真a〜h)約20m程遡ったところに高い砂防ダムがあって、オオサンショウウオの生息・産卵に適しているとは思えません。(地図の上で見る限り4つの川の中で3つまでは同じ状態。)そこで集落へ引き返して最初の家で(B氏)オオサンショウウオのことを訊いて見ました。「オオサンショウウオを見つけた時は、近所の人の協力を得て捕獲し(写真i〜p)、本流との合流点から更に下流へ30〜40mばかり運んで行って放流してやった(保護のために)。また合流点から約20m下流の渕には3個の岩石が沈んでいて、それらの間に(写真q )潜んでいるのを見た」との答えが得られました。
後山川本流との合流点は極めて良好な自然状態が保たれ、オオサンショウウオが遡上し易い条件が整っています(写真r〜t)。
考えて見ると、遡上した来たオオサンショウウオは産卵場所を求めて小さな流れを苦労して登って来ていた訳で、それを本流まで運び返されたオオサンショウウオにとっては見ればまさに「有難迷惑」であったことでしょう。
さてここで重大なことは、オオサンショウウオにとって極めて良好な小谷川が本流との合流点の井堰が遡上をさまたげる構造になってオオサンショウウオを拒絶していることです。(その1調査のP.1、2) 井堰の下に岩礫を積み上げ固定して、オオサンショウウオがしぶきを浴びながら這い上がることができるような構造にしてやればオオサンショウウオの生育を助けることが可能になる筈です。




4. 今回の村の人との対話の重要性を痛感することになりました。また村の人もオオサンショウウオの生態を理解できて、今後の保護に役立てられるでしょう。


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